冷たい風の吹きすさぶ海の上。
不規則にあっちにグラリこっちにグラリと
サッパの予想もつかぬ小刻みな揺れに絶えられず
とうとう酔っ払ってしまった青白い私の顔を見て母が
「いいが、そごさ寝でろ。」と言ってくれた。
酔いで力尽きた体を横たえて目をつむると
いくつもの小さな波がサッパにぶつかり
ペコンペコンと心地のよい音が永遠と続く。
そのうち眠気がきて、うつらうつらとしていたら
なにやら顔に違和感を感じて目を覚ますとタコの吸盤が肌に吸い付いてしぶとく取れない。
先に父がアワビ漁の最中タコを見つけ鉤で引っ掛けて上げたやつ。
そうだ。船にそのまま放置していたことを思い出す。
水ダコの大きな吸盤は顔どころか全身に吸い付いていて
こっちが取れたと思ったら今度はこっちに吸い付いてと
一度纏わりついたら逃れられないのだ。
そのうちまた視界がふわふわして気持ち悪くなり、もうお手上げ。
「おかぁさ~ん・・・」とひよわな声で助けを呼ぶと
仕事の手を止めてニヤッと笑った父が取り除いてくれた。
三陸はこれからアワビが旬。
子供のころはアワビ漁の度に毎回朝4時に起こされ連れて行かれたものだ。
最初は酔って酔ってしょうがなかった。
当然仕事は全く役にたたなかったが、それでも連れて行かれるのだ。
そのうちそんな私もあの恐怖だった揺れに慣れてしまい
仕舞にはケイオス(舟漕ぎ)も母に勝るとも劣らないほどの腕を上げた。
「母さんよりも上手だぁなぁ。」
母はわたしを褒めて育てたのだなと今になってそう思う。
サッパの上に滞在4時間。
真っ暗な闇が水平線からだんだん明けてくる様は
なんとも幻想的で神秘的で小学生の子供(自分)がそれを見て感動していた。
自然あふれる場所というのは時にそういった奇跡的な美しい景色が多く見れる場所。
素晴らしいところだ。
三陸はこれからアワビが旬。
今年もまたこの季節がやってくると
必ず思い出す懐かしい思い出。
厳しさと、
美しさと、
父、母の温かさと。
不規則にあっちにグラリこっちにグラリと
サッパの予想もつかぬ小刻みな揺れに絶えられず
とうとう酔っ払ってしまった青白い私の顔を見て母が
「いいが、そごさ寝でろ。」と言ってくれた。
酔いで力尽きた体を横たえて目をつむると
いくつもの小さな波がサッパにぶつかり
ペコンペコンと心地のよい音が永遠と続く。
そのうち眠気がきて、うつらうつらとしていたら
なにやら顔に違和感を感じて目を覚ますとタコの吸盤が肌に吸い付いてしぶとく取れない。
先に父がアワビ漁の最中タコを見つけ鉤で引っ掛けて上げたやつ。
そうだ。船にそのまま放置していたことを思い出す。
水ダコの大きな吸盤は顔どころか全身に吸い付いていて
こっちが取れたと思ったら今度はこっちに吸い付いてと
一度纏わりついたら逃れられないのだ。
そのうちまた視界がふわふわして気持ち悪くなり、もうお手上げ。
「おかぁさ~ん・・・」とひよわな声で助けを呼ぶと
仕事の手を止めてニヤッと笑った父が取り除いてくれた。
三陸はこれからアワビが旬。
子供のころはアワビ漁の度に毎回朝4時に起こされ連れて行かれたものだ。
最初は酔って酔ってしょうがなかった。
当然仕事は全く役にたたなかったが、それでも連れて行かれるのだ。
そのうちそんな私もあの恐怖だった揺れに慣れてしまい
仕舞にはケイオス(舟漕ぎ)も母に勝るとも劣らないほどの腕を上げた。
「母さんよりも上手だぁなぁ。」
母はわたしを褒めて育てたのだなと今になってそう思う。
サッパの上に滞在4時間。
真っ暗な闇が水平線からだんだん明けてくる様は
なんとも幻想的で神秘的で小学生の子供(自分)がそれを見て感動していた。
自然あふれる場所というのは時にそういった奇跡的な美しい景色が多く見れる場所。
素晴らしいところだ。
三陸はこれからアワビが旬。
今年もまたこの季節がやってくると
必ず思い出す懐かしい思い出。
厳しさと、
美しさと、
父、母の温かさと。
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by minmei316
| 2013-11-05 15:58
| 実家(宮古)