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   こんにちは!          今日もいい塩梅ですか?


by minmei

武蔵小杉駅のホーム 赤い服の小さい女の子

武蔵小杉駅、南武線川崎方面行きのホームで
家路に向かう電車を待っていた。
その日は日曜で息をつく暇もなく仕事の忙しい一日だった。
ベンチに座ったとたん疲れがどっと押し寄せ
ぐったりしながら生あくびをした。
駅のホームは通勤の乗客もおらず閑散としていて
陽もすっかり沈んでしまい、やんわり照らす蛍光灯の下で
そんなわたしの傍らをウロウロと
赤いちっちゃなダッフルコートを着た1歳半の娘が
おぼつかない足取りでひとり動き回っていた。
娘はなにやら宇宙語を話しながら
時折わたしの膝のところに来て、
その無垢な笑みをわたしに向けてくる。
そんな様子を見ていたら
とても愛おしくなって
そしてなんだかとても切なくなって
ただただ無性に泣きたくなった。




今朝武蔵小杉駅の事故の報道が流れた。
武蔵小杉駅といえばあれは16年前
毎週日曜日必ず利用していた駅である。
今朝もまた、小杉駅と聞いて
あの無邪気な1歳半の娘の顔を思い出し
胸がキューと締め付けられた。
わたしの中ではどうやら武蔵小杉駅は
切ない思い出となってしまっているようだ。



当時わたしは一歳半の子供を持ちながら
さらにもう一人、身ごもった状態で仕事をしていた。
保育園は平日預けることができるが日曜は休み。
仕事柄、日曜こそ書き入れ時、仕事は休むわけにはいかない。
それで民間の日曜もやってる託児所を探した。
そこで見つけた場所が小杉駅の近くだったのだ。
日曜の朝はいつもより早く起きて、出勤前に
小杉まで行って娘を預ける。その時間が朝8時。
仕事の終わる時間は午後6時までの約束だったが
これがまた仕事柄必ず定時に終わるはずもなく
結局何とか終わらせて娘のところに飛んでいっても
かるく7時は過ぎてしまう。
ざっと考えてみても、ほぼ、約10時間は預けていることになる。
まだまだおっぱいを欲しがるこんなちっちゃな子供を
よそに何時間も預けてまでして
そんなに仕事をしなければいけないのかと自分を恨んだ。
そんなわたしに小さな娘は
とびっきりの笑顔で迎えてくれる。
子供というものを授かり、その子供を育てているつもりが
その子供に支えられ、救われていたのは自分だった。
以前娘が小学生のときに
「ママ、ママはなんで普通の主婦じゃないが?」
と聞かれたことがある。
保育園から学校、そして子ども会、さらに学童。
日曜のいろんなイベントごとの殆どを
あの子達は保護者不在で参加していた。
「美容師の子供に生まれてきた。それも運命。
我慢を覚えるための運命に生まれてきたんや。」
みたいなことを言ったような気がする。
改めて考えてみると
娘たちはわたしの察する以上に我慢というのを
ずっとずっと、ほんの小さい時からしてきたのであろう。

大変な頑張り屋さんたちじゃないか。

今があるのは
もしかしたら子供たちの多大なる頑張りのおかげではないか・・・・。
そう感じてしょうがない。



16年前武蔵小杉駅のホームで
わたしは娘を強く抱いた。
鬱陶しがって離れようとする娘を
離すもんかと強く強く・・・・。


武蔵小杉駅のホーム 赤い服の小さい女の子_f0226953_15293486.jpg

       (ドナルドダック顔の長女1歳8ヶ月)
by minmei316 | 2014-01-09 15:27 | 家族